【書評】顧客はどうやって自立的に問題を見つけられるのか?「謙虚なコンサルタント」を読んだ

日本の皆様いかがお過ごしでしょうか。ホーチミンはますます暑くなってきました。このブログも初めてもう2年くらい経っているはずなのですが一向に記事が増えない(増やす気が…ない…)ので、技術以外のことも書いて良いことにしました。

基本的な住み分けとして、旅行やホーチミン生活に関しては「ミーアキャットは空を飛ぶ」に書き、技術や仕事周りのことはこっちに書く所存です。もう1つベトナム語学習用のブログを作成しようと思っていて、それの名前を「アヒルは◯◯」にしようかと思っているので、このブログは「ネコチャンは空を飛ぶ」とかに変えた方がいいような気もしてきました。別に「空を飛ぶ」に大して意味はなく、英語にした時に「Flyingナントカ」になるのがかわいいなと思ったためです。

謙虚なコンサルティング

わたし、現状お仕事がもはやエンジニアではなくなっていて、PM、もといProduct Managerなので、コードに向き合う時間よりはプロダクトを作りたい顧客に向き合う時間が長くなってきています。

少し前までは、どうやって顧客の要望を聞き出すのか、というところに徹していたように思います。顧客の要望というのは「顧客がどんな機能が欲しいか」「その機能がどんなUI/UXで動くと顧客が嬉しいか」「いつまでに作りたいのか」みたいなところです。

ただこれってただの御用聞きでしかなくて、例えばよくある話で、顧客が作りたいって言ったから作ったけど使われなかったとか(エンジニアの心境的には最悪ですよね)、実は社内の偉いさんが考えなしにぽろっと言ったことを社員が「やんなきゃ!」って思い込んでプロジェクト進めただけで、本当に作りたいものでもないしユーザーにとって必要なものでもなんでもなかったとか、そういうのがプロダクト開発では往々に起こってしまうわけです。

その時の徒労感といったらもう半端ないと思うのですが、そういうのが起こらないためにどのようなやり方でやったら良いのだろう?ということを考えた結果、まずは真の課題を見つける能力が必要で、しかも真の課題って別にわたしが見つけなきゃいけないものでもなんでもなく、顧客自身が見つけられたらそれがベストだよね、という考えが浮かんでいたわけです。で、たまたまコーチングをやっている母の書斎にあったこの「謙虚なコンサルタント」を読んでみたところ、結構自分の持っていた対話における課題感がかっちりハマる感じがしました。

おそらくこの書籍は以下のような人にオススメです。

  • 開発会社のSEさん(顧客の要望をヒアリングする必要がある)
  • 企業文化を変えたい人
  • めっちゃぼやっとした要件をいつも投げられてイライラしているエンジニア

『謙虚なコンサルティング』とは何か?

下記は本書の目次です。

  1. コンサルタントなのに、どうしたらいいかわからない!
  2. 謙虚なコンサルティングはどのように新しいのか
  3. 互いを信頼し、率直に話のできる、レベル2の関係の必要性
  4. 謙虚なコンサルティングは最初の会話から始まる
  5. パーソナライゼーション レベル2の関係を深める
  6. 謙虚なコンサルティングはプロセスに集中する
  7. 新しいタイプのアダプティブ・ムーブ

謙虚なコンサルティングとは?というところですが、「積極的な気持ち、思いやり、好奇心を持って、クライアントの本当の思いを突き止めることが謙虚なコンサルティングの前提なのである。」とカバーに書いてあります。

「コンサルティング」という職業ってどうしても「正解を教える」というマインドになりやすいけども、その方法では世の中が複雑になっている今は通用しないよね、というのが根底の考えとしてあります。世界は多様性を帯びて、予測不能な因子が増えていて、その中ではまず「本当の問題を突き止めること」がとても難しくなっている。少し前だったら、コンサルティングはデータだけ出して解法を提供するような「医者」の役割で機能していました。今では、それでは本当にクライアントの望むものを与えられない可能性が高くなっています。

では、どうやって問題を探し出すのか?

それはクライアントとの対話の中で、彼ら自身が気づくもの。

その気づきを支援し、確実にクライアントが変われるようにするのが「謙虚なコンサルティング」です。

関係性を作る

筆者のシャインによると、クライアントとの関係は下記の4種類に分けることができます。

レベルマイナス1:ネガティブな敵対関係、不当な扱い
レベル1:認め合うこと、礼儀、取引や専門職としての役割に基づく関係
レベル2:固有の存在として認知する
レベル3:深い友情、愛情、親密さ

多くのビジネスでの関係性はレベル1にとどまっていて、それではお互いに自分の役割に徹しているだけで問題へのアプローチがしづらい(とはいえ、この関係の方がうまくワークする時もある)。レベル2はレベル1から一歩踏み込んで「パーソナライゼーション」が行われた関係です。それは自分の私的なことも話すような関係で、ただの顧客から「個人」へ変わることでもあります。

本書では繰り返し繰り返しこの関係性を築くことの重要性が強調されています。

アダプティブ・ムーブ

問題を解決するための効果的な反応を「アダプティブ・ムーブ」と呼び、このアダプティブ・ムーブを見つけるためには適切な関係性の上で行われるダイアローグ(対話)が必要になります。「ムーブ」と言っても綿密に計画を立てておく必要は全くありません。

対話をしていくうちにクライアントの本当の懸念を見つけ出し、それをさらに深堀するような小さな一歩もアダプティブ・ムーブです。このムーブが正しいかどうかは事前にわかるものでもないので、妥当性を判断しつつ、効果的でなかった場合はまた問題を再度突き止める必要があります。

特徴的なのは、コンサルタント自身が何か動かなければならないというわけではなく、多くの場合は社員や当事者の方が多くを知っているので彼らを教育したり、自ら主導権を握ってもらって解決に動いてもらうことが大事だと言っているところでしょう。

従来のコンサルタントは、問題に対する行動を自分たちがやるのが一般的だと思っていましたが、それは真にクライアントのためにはならず、コンサルタントがいなくなったらもはや持続性がなくなってしまうものでした。なので、クライアントが、ひいてはクライアントの会社の社員たちが自ら主導して問題に当たっていくように支援していくのが謙虚なコンサルティングです。

本当にやりたいことは何か?

これ読んで、前いた会社もこんなコンサルタントが入ってたの思い出しました。組織形成みたいな。そこは割と社員も巻き込んでやってましたが、結局社員からするとそこの社員選びからもうあんまり的を得てない感じで、結局問題がわかってないんだな〜と思った覚えがあります。

私が、コンサルタントが「本当の解決」を実行できなかった例として、実際にあった話で聞いたことがあるのは次のような例です。

「離職率が高い」という課題を抱えていた会社があり、その会社の社長がコンサルタントへ「離職率を下げたい」と相談した。この時コンサルタントが「わかりました。社員へ不満に思っていることをヒアリングしてみましょう」と行動を起こす。その結果、社員はみんな「給料が低い」と不満を漏らす。「では、給料をあげましょう」と給料をあげる。一時的には離職率が減ったとしても、結局離職率は下がらず、しばらくすると社員はまた「給料が低い」と言い出してしまった…。

これはおそらく典型的な場当たり的コンサルティングで、本来なら「なぜ離職率を下げたいのか」「離職率が上がることによって受けている影響はなんなのか」などを深堀して聞かないといけない場面です。もちろん社員の不満として給与面がたしかに存在するとして、給与を上げたところで離職してしまうということは他に本当の問題が潜んでいたはず。コンサルティングはそこを突き止めるのが仕事です。

ここまでは組織の話をしましたが、これってプロダクト開発の時にも適用できる話で、クライアントが作りたいものはなんなのか、なんで作りたいのか、みたいな聞き出しをする時に絶対に必要になるものだと思います。誰にも望まれないゴミプロダクト生み出さないために!

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